僕らが自転車に乗る理由

 「せっかく高いお金で免許取ったんだし、社会人なら車くらい乗れんと困るでしょ」と母や父に言われてやっと近くのスーパーやら公園に車で行くようになった。車はやっぱり快適だ。クーラーはついてるし、いいナビも付ければ道案内もしてくれる。おまけに気分が高鳴る音楽も流せる。ペダルを踏めば、速さもグングン上がって最高時速すらすぐにマークできる。だけど、僕はというより、僕らは自動車ではなく、自転車のペダルを漕ぐのだ。今みたいにクソ暑い夏も、ちょっと雪がチラついて風が痛いくらいの冬も自転車に乗ってペダルを漕ぐ。僕ではなく、僕らと書いたのはなぜかそいつらと会う時は、なぜか自転車で集合して、どこかへ行く。ちなみに乗る自転車もスポーツタイプではない。ママチャリ、オバチャリと呼ばれる物で、チェーンに錆があって、グリップのゴムが取れかけているような自転車に乗っていた。

 きっと、自転車にあって、車にないものは「汗を流す」ってことだ。この「汗を流す」ってことは楽しくなる。できれば一人よりも二人で二人よりも、大勢で分かち合えば合うほど、面白くなる。

 なんてことを書いてみても、今年の夏は自転車に乗ってどこかへ行ったら倒れてしまいそうだ。